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ハンドルセンターずれ(ドックトラッキング)

今回は、ハンドルセンターずれ(ドックトラッキング)について説明します。

犬(ドック)が走っているように、クルマが斜めになって走行している状態をドックトラッキングと言います。

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ドックトラッキングが発生すると、同時にハンドルセンターの異常としても現れます。

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運転手が、ドックトラッキングに気がつくことは、ほとんど無いと思います。

しかし、ハンドルセンターの異常は、すぐに気がつきます。

ハンドルセンターの大きなズレは、ドックトラッキングのサインかもしれません。


ドックトラッキングは、ホイールアライメントが、少しずつ変化することで、徐々に進行します。

なぜホイールアライメントは変わってしまうのか?については、こちらを見てください。

このような症状は、ホイールアライメントの診断が必要なことを示しています。

更に、症状が進行すると、タイヤの異常磨耗や、燃費の悪化をまねくこともあります。




ドックトラッキングは、ホイールアライメントを点検することで確認できます。

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特に、後輪のトゥスラスト角に注目します。

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例えば、大きなプラスのスラスト角が生じていたとします。

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プラスのスラスト角は、後輪が右側へ進み、下のイラストのようにドックトラッキングを引き起こします。

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マイナスのスラスト角は、後輪が左側へ進み、下のイラストのようにドックトラッキングを引き起こします。

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要するに、ドックトラッキングは、スラスト角を修正することで、適正になります。

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スラスト角を修正するには、後輪のトゥを許容内に調整します。

更に、左右のトゥを均等にすると、スラスト角は、限りなくゼロに近づきます。

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これにより、ドックトラッキングが解消されます。

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後輪のトゥに調整機構がない場合は、スラストラインアライメントを行います。

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始めに、ハンドルをセンターで固定し・・・

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次に、前輪のトゥを調整します。

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この方法は、後輪の進行方向(スラストライン)に、前輪のトゥとハンドルセンターを調整する方法です。

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こうすることで、タイヤの引きずりを小さくでき、正しい前輪アライメントと、正しいハンドルセンターになります。


残念ながら、スラスト角が大きすぎると、ドックトラッキングを直しきれないかもしれません。

このような場合は、サスペンション構成部品の損傷や磨耗状態を点検します。

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後輪のサスペンションを組み立て直し、許容内へ近づけることも必要です。


詳しくは、こちらの動画をご覧ください。
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ハンドル流れ(クルマの横流れ)

今回は、ハンドル流れ(クルマの横流れ)について説明します。


平坦な道路を直進している時に、クルマがどちらか一方へ引っ張られ、ハンドルを押さえていないと流れしてしまう現象を、ハンドル流れと言います。

足まわりに関する不具合のうち、最も多いのが、このハンドル流れと言えます。

ホイールアライメントの異常はもちろん、いろいろな要因が考えられるので、原因をつき止め、修正することが難しいです。

プロとしては、腕の見せ所であり、他店との差別化が図れるポイントです。


ハンドル流れが発生する原因として、いくつか考えられることは・・・

ホイールアライメントの過度な変化や、左右バランスの異常

◆ステアリング部品やサスペンション部品の過度なガタ・緩み・変形など

◆ブレーキの引きずり

◆タイヤの空気圧、異常磨耗、サイズや銘柄の違い、コニシティ

◆路面の傾斜(水勾配など)や、凸凹や、わだち

路面の凸凹やわだちによるハンドル流れ(ハンドル取られ)は、こちらを見てください。




例えば、キャンバーを付けると、タイヤが傾いた方向に横力が発生します。

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下図のように、キャンバーの左右差が生じると、クルマを右へ引っ張ろうとします。

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キャスターを付けることで、ハンドルを操舵した時に、スピンドルと路面の高さが変わります。

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車体重量により、スピンドルに反力が生じ、直進位置へ保つ、復元力が生じます。

ハンドルを操舵した時も、スピンドルに生じる反力によって、ハンドルから手を放すと自動的に元へ戻ります。

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下図のように、右側のキャスターのほうが小さいと、スピンドルに生じる反力も右側のほうが小さくなります。

よって、クルマを右へ引っ張ろうとします。

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このような力を、キャンバープルキャスタープル(プル=引っ張る)と言い、カーメーカーが指定する左右差を越えないように調整します。

左右差の指定がない場合は、キャンバーは 15′(0.25°)以内、キャスターは 30′(0.5°)以内を目安に調整します。


キャンバープルによるハンドル流れについては、こちらの動画を見てください。

キャスタープルによるハンドル流れについては、こちらの動画を見てください。




タイヤによる横流れが発生する力のことを、タイヤプルと言います。(プル=引っ張る)

タイヤプルが発生する原因として、一般的にコニシティが考えられます。

コニシティとは、内側と外側のサイドウォールの硬さに差が生じることで発生します。

硬さに差が生じることで、荷重が掛かると、内側と外側の直径に差が生じます。

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円錐状のタイヤが、転がっているような状態になる訳です。

当然、円錐状であれば、どちらかに曲がってしまいます。

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このようなタイヤが、前輪に装着されていると、クルマを横方向へ引っ張ろうとします。

これが、タイヤが原因で、ハンドル流れが発生する時のメカニズムになります。

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コニシティ自体を修正することはできません。

左右輪のバランスで、流れる方向と力をコントロールしなければなりません。

後輪は、固定輪なので、アライメントで調整されている方向にタイヤは転がります。

従って、前輪と比較するとコニシティに影響されにくいです。


タイヤプルによるハンドル流れについては、こちらの動画を見てください。

修正方法については、こちらの読み物を見てください。




このようにハンドル流れは、いろいろな要因が考えられるため、問診・点検・ロードテスト(調整前と調整後)をしっかり行うことが重要です。


道路は、水はけ等を考えて、カマボコ状になっています。

クルマは、左車線を走行しているので、路面の影響で左へ流れようとします。

場合によっては、路面の影響を打ち消すために、キャンバーや、キャスターや、タイヤで、少し右へ流れるように、意図的に左右差を付けることもあります。

ハンドルセンターずれ

今回は、ハンドルのセンターずれについて説明します。

真っ直ぐ走っているのに、なぜかハンドルが曲がっている、といった経験がないでしょうか?

このままでは、走行が不安定になるため、ハンドルの修正舵も多くなり、長距離ドライブは疲れてしまいます。


ハンドルのセンターずれは、ホイールアライメントが、少しずつ変化することで、徐々に進行します。

なぜホイールアライメントは変わってしまうのか?については、こちらを見てください。


このような症状は、アライメント診断が必要なことを示しています。

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更に、症状が進行すると、タイヤの異常磨耗や、燃費の悪化をまねくこともあります。




それでは、ハンドルセンターにとって、必要な条件を確認してみましょう。

まず、直進時のハンドル位置を確認します。

前輪の直進位置は、スラストラインが基準になっています。

スラストラインとは、後輪が進む方向のことです。

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前輪の直進位置と、スラストラインの関係は、4輪アライメントテスターで測定することで判ります。

サイドスリップテスターやトーインゲージでは、これを調べることはできません。

直進位置とスラストラインの関係は、こちらを見てください。


次に、修正中にハンドルが動かないように、センター位置でしっかり固定します。

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最後に、スラストラインに対して、前輪のトゥを左右均等に、許容内に修正します。




ハンター独自の「WinToe ウィントゥ」という、便利な機能を紹介しましょう。

今までは、修正中に、動こうとするハンドルを固定しているわけですから、どうしても、ステアリングリンケージ等にストレス(ヒス)が偏ってしまいます。

修正後に、テスト走行を行うと、このストレスが均一化(分散)されます。

この影響によって、ハンドルのセンターが、ずれてしまうこともあります。

よって、何度も微調整を繰り返して、ハンドルセンターの修正を行うこともあります。

WinToe ウィントゥであれば、ハンドルを固定しないで修正できるので、このような影響を受けにくいです。




思ったとおりに、修正できなかった場合、考えられる可能性として・・・

スラストラインを考慮していなかった。

◆ハンドルをセンター位置で固定していなかった(WinToe ウィントゥ以外)。

◆前輪のトゥを正確に修正していなかった。

◆後輪のトゥが変化したことでスラストラインが変わってしまった。

◆サスペンションやステアリングシステムの過度なゆるみやガタ。


このように、ハンドルのセンターずれは、前輪だけではなく、後輪も影響します。

よって、ハンドルセンターの点検は、後輪のサスペンションから始める習慣を身に付けることが重要です。


詳しくは、こちらの動画をご覧ください。

ハンドル振動(シミー)

今回は、ハンドル振動(シミー現象とも言います)について説明します。

実は、振動やノイズ(異音など)は、自動車業界で高難度整備として位置づけられ、高い技術が要求されます。

プロとしては、腕の見せ所であり、他店との差別化が図れるポイントです。


ハンドル振動が生じた時には、まず、タイヤとホイールの点検を行います。


初めに、タイヤを点検します。

・ 溝の深さは大丈夫か?

・ 異常な磨耗がないか?

・ 亀裂や損傷はないか?

・ タイヤ空気圧は規定通りか?


次は、クルマを安全に持ち上げて、タイヤとホイールを点検します。

・ ハブベアリングのガタはないか?

・ タイヤやホイールの振れは大丈夫か?

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次は、フロントホイールを外して、点検します。

・ ホイールナットやスタッドボルトに損傷がないか?

・ ホイールとハブの面合わせ部の損傷や汚れがないか?

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過度なホイールの振れは、この面合わせ部の錆やゴミが原因かもしれません。

このとき一緒に、ホイールも点検しましょう。

・ 曲がりがないか?

・ ひび割れがないか? など・・・


次は、ホイールバランスを点検します。

ウェイトバランスは、大丈夫か?

ユニフォーミティは、大丈夫か? など・・・

ものすごいホイールバランサー HUNTER GSP9700 をご紹介します。


一通りのトラブルシューティングが完了したら、外した部品を組付けます。

社外ホイールの場合、ハブリングも大切な部品だったりします。こちらの説明は、また今度にします。


次は、ステアリング関連部品やサスペンション部品を点検します。

これらの部品の緩みやガタも振動(シミー)が発生する原因になります。


最後に、ホイールアライメントを測定します。

過度なポジティブ(プラス)キャスターも、振動(シミー)が発生する原因になります。


詳しくは、こちらの動画をご覧ください。

ハンドル取られ(バンプステア)

路面のうねりや段差にハンドルが取られやすくなる原因の一つとして「バンプステア」があります。


バンプステアとは、走行中、上下動した時におこるアライメントの変化の事です。(特にトゥの影響力が大きい)

注目すべきは、この変化の左右バランスを見ることです。


ちなみに、VWやアウディ等は、フロントのタイロッドエンドにバンプステアの調整機構が付いたモデルがあります。

タイロッドエンドの取り付け高さが調整できるようになっています。

さすがドイツ車、走りにこだわっています。


バンプステアの異常は、ステアリングシステムのミスアライメントが考えられます。

ステアリングリンケージでは、各リンクの組付け状態やパーツの変形によって起こります。

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ラック&ピニオンシステムでは、ラックハウジングの組付け状態やパーツの変形によって起こります。

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バンプステアは、クルマにアライメントテスターを取り付けて、車体を上下に動かすことで確認することができます。

まず、ホイールアライメントを測定します。

次に、車体を左右均等に上下させた時のアライメントの変化を読み取ります。(特に、トゥの変化に注意深く!)

左右のバランスが悪い時は、組付け状態やパーツの変形がないかチェックします。


詳しくは、こちらの動画をご覧ください。
プロフィール

イヤサカ/IYASAKA

Author:イヤサカ/IYASAKA
自動車試験・整備機器及びシステムの専門商社としてイヤサカは、常に一歩先の時代を想定し、今、何が求められているのかをひとつひとつきっちりと検討し、人とクルマと環境のより良い関係をユーザーの視点で創造、提案します。

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